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work 4分で読める 2026.05.22

「人が足りない」と言い続ける会社が、本当に足りていないもの

求人を出して、面接して、やっと来てくれた人がまた辞める。
でも本当に足りないのは「人」じゃないかもしれません。

「人が足りない」が口癖になっている会社の共通点

求人を出して、面接して、やっと来てくれた人がまた辞める。また求人を出す。

小さな会社の経営者なら、一度はこの循環を経験したことがあるんじゃないでしょうか。「人が足りない」が口癖になって、採用することがもう日常業務の一部になっている。

でも、ちょっとだけ立ち止まって考えてみてほしいんです。

本当に足りないのは、「人」なんでしょうか。

「いい人が来れば解決する」が、一番高くつく考え方

「辞めたのはあの人が合わなかっただけ」「次はもっといい人を採りたい」

そう思う気持ちは、よくわかります。目の前に穴が空いていたら、埋めるしかないですから。

ただ、ここに落とし穴があるんです。うまくいかなかった原因を「人」に置いてしまうと、「次のいい人」を探し続ける以外の選択肢がなくなる。そして同じ環境に違う人が入っても、環境が変わっていなければ、また同じことが起きます。

採用のたびに、面接の時間、教える時間、引き継ぎの負担、残った人にかかるしわ寄せ——こういう見えないコストが積み重なっていきます。そしてまた誰かが辞めたら、それが全部リセットされる。年に何度もこれを繰り返していたら、100万単位の金額が「振り出しに戻る」ためだけに消えていることになります。

足りなかったのは「いい人」じゃなくて、人が残れる構造の方だった。そういうケースを、たくさん見てきました。

採用には「仕方ない」と言えるのに、定着には「もったいない」と言ってしまう

ここで、ちょっと考えてみてほしいことがあります。

採用にお金をかけることには、あまり抵抗がない経営者が多い。「人がいないんだから仕方ない」と。求人広告も、紹介会社も、「必要経費」として受け入れている。

でも「社員が気持ちよく働ける環境を整えましょう」と言うと、急にブレーキがかかる。「そこにお金かけるのはちょっと…」「今はそんな余裕ないし」と。

このコスト感覚のズレが、実は一番大きな損失を生んでいます。

採用は使うたびに消えるコスト。でも、定着のためにやったことは積み上がっていく。しかも、定着に効くことの多くはお金がかからない。人が残れる構造を作ることに、何十万もいらないんです。

辞めない会社がやっていること

じゃあ「人が辞めない会社」は何か特別なことをしているのか。

これがまた、拍子抜けするくらいシンプルです。

「気持ちよく働いてもらうには何が必要か」を考えている。それだけだったりします。

ただ、ここで間違えやすいことがひとつあって。オフィスを綺麗にしました、福利厚生を充実させました——こういう「形から入る」やり方は、効果が長続きしません。新しい休憩室も、3ヶ月もすれば当たり前になる。

続くのは、「ちゃんと見てもらえている」という感覚の方です。

「困ったとき相談できる人がいる」「自分がここにいる意味がわかる」——こういう実感が持てるかどうか。

特別な制度は要りません。たとえば、

「最近どう?」じゃなくて「何か困ってることない?」と聞く。これだけで「あ、この人はちゃんと聞こうとしてくれてるんだ」と伝わります。

入社して1ヶ月目、3ヶ月目に、5分だけ話す時間を作る。「慣れた?」じゃなくて「わからないこと、ない?」と聞く。

お金をたくさんかけている会社が、人を大事にしている会社とは限りません。意識を向けている会社が、人を大事にしている会社です。

ちなみに、定着のための取り組みに使える助成金もあります。「うちでも使えるのかな」と思ったら、社労士さんや外部の相談先に聞いてみるのもひとつの手です。

この記事のまとめ

「人が足りない」の本当の原因は、人が残れる構造になっていないこと。採用は使うたびに消えるコスト、定着は積み上がる投資。特別な制度は要らない。「困ってることない?」のひと言から始められる。

田端 洋子

田端 洋子(たばた ひろこ)

国家資格キャリアコンサルタント
mion careery 代表

5〜20名の会社の経営者に向けて、伴走支援・企業研修・AI活用支援を行っています。「人が育つ仕組み」を一緒に作ることが仕事です。

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